フリーランスデザイナーから外資に転職

35歳、新人として再スタートしました。

古株が一層された職場

私が務め始めた外資系企業には、たくさんの女性達が働いている。みんな役職を持ち、まさに男女関係なく、力があれば上に上がれる外資系企業です!って感じだ。

私の上司も漏れなくバリバリです!って感じで、「仕事が好きなんです。とにかく昇格したいんです」と言っていた。部下にも厳しい。その厳しさ故、彼女がこの物件に越して来てから今まで長年働いて来た古株の方々が全て辞めてしまい、今回私がそこに就職する事ができた。

入社から1ヶ月が経ったために一人で業務をする必要がある。一人の時間が増える事により、会社の他の方々、下請けの方々が私にゴシップを聞かせてくれる機会も増えた。

「前にいた子、すごく仕事もできるし元CAで接客も上手だったし、長く働いていたんだけどね。あの方(上司)が来てから、ものすごいパワハラに遭って、重箱の隅を突つかれるようなひどい物言いを毎日されて、結局あの方が来てから1ヶ月で辞めちゃったんだよ。それを横で見ていたもう2人の女性も辞めてしまってさ。自分にそれが回ってくると思うと怖かったんだろうね」

うーん。恐ろしい。確かに恐ろしい人だけど、何がそんなに彼女を怒らせたのか良く分からない。というか、私が今その目に遭っているのか……?

「それ、前にも言いましたよね。今何時ですか?いつまでにそれやるんですか?ほら、その仕事まだ終わっていないですよね。どうするんですか。それ、教えたと思うんだけどさあ」

その話をされる度に手を止めて話を聞く訳で、時間通りに終わる訳がない。その上司も、同じような教わり方を上司にされてきたのだろう。世の中の不条理さを教えたいのだろう。辛い。

もう、聞き飽きたその言葉を毎日のように聞かされている。私に辞めて欲しいと言うことなのか?それならスパッとクビを言い渡して欲しい。解雇してくれ。会社のせいにはしないから。自己都合で辞めるから。

幸か不幸か、私はまだ耐えている。部屋で一人で泣き、目がパンパンに腫れても、スプーンの裏と保冷剤を駆使し、翌日には目の腫れを引かしながら会社に通っている。泣くだけでは済まず、胃腸に不調を来した時点で辞めようとは思っている。

もしくは、電車に乗れなくなったときは精神の限界だと思う。

または、3ヶ月の使用期間が終わった時点で採用を見送られるのであれば、それはそれでしょうがないし、どうも思わない。次の就職先を早く探すだけだ。

一方、給与明細を貰ったときはやはり嬉しかった。これにどれだけの価値があるか、フリーランス時代を経なかったら知る由もなかっただろう。定期代が給与とは別に貰えるのだ。雇用保険証がこれだけありがたいものかと再認識もした。この給与と雇用保険証と言うのは、元フリーランサーにとって仕事を続けるという事に対して一つのモチベーションともなる。

請求月がずれて入金が遅れてお金がない。家賃が払えるかどうか心配でしょうがないという悩みを二度と抱えたくないのだ。もう、何をするにも大変だ。生きることって大変だ。お給料をもらい続け、最低限の生活を維持する為にはこんなにも涙を流さなくてはならないなんて。

昨日は上司が休んだ。その時は職場の雰囲気が異なった。上司が横にいるときはシーンとしていた職場だったが、その日はみんな私に声をかけてくれた。

「1人で大丈夫?」「私も色々言われちゃうけど何度も聞き直して頑張っているよ」「何でも聞いて大丈夫だからね」

その言葉で、恥ずかしながら泣きそうになった。我慢していたものが決壊していくのを感じた。ここ一ヶ月習った事は、すべて自分でマニュアル化し、検索できるようにインデックスを貼りまくった。まあ、新人の最初の仕事はそれなんだろうけど、元編集者としての力量が発揮できたように思う。そこは今の仕事とまったく関係ないのだが、紙面構成はかなりキレイだと思う。コレを次に来る新人の方にこっそりと渡したい。

自分なりに頑張って来たが、仕事が遅いと罵られ、処理が終わらない。細かすぎるルールを全て網羅しきれない。

これだけ人が辞めていく職場だが、上司の上司が彼女に絶対の信頼を置いており、その2人にもここまで来るのにストーリーがあるためにどうする事もできない。

ある下請けの方が言った。

「あなたの上司が来てから職場の雰囲気がだいぶ悪くなったし、人も辞めていったけど、上の人があの方に絶対の信頼を置いているからどうにもできないよね。関係者全員が毎日震え上がっていて、みんな報告書に嘘を書き始めるんだ。組織として崩壊しかけているよ。今は売り手市場に切り替わって来ているから無理はしない方がいい。ここは昭和の日本縦社会みたいな会社だよ」

と。薄々感づいていたし、何かおかしいと思っていたけど、私がおかしいのではなくみんな感じているんだなと思うと少し安心。少なくとも、ここで残って働いている同僚の方々や関係者は優しい。何より、お客様も優しい。その救いは大きい。

なんだ、外資だけど、結局昭和の日本の会社と同じような感じなんだ。どこで働くにも大変なんだ。ああ、少しフリーランスの生活が懐かしい。

ではまた。