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デザイナー崩れは今日も生きている

このブログの更新が止まった時が、食っていけなくなった時

山本耕史スタイルの先駆け

仕事 日常記録

都内某駅からバスで10分、工場地帯の中のとある工場の中で打合せをした。
地域を盛り上げるための企画本の打合せだ。企画のプロデューサー、そして、プロデューサーの右腕としてデータの整理や各パートへの手配から雑用まで、実務をする人の名前を仮に島田さんとする。
島田さんは、非常に仕事熱心でプロデューサーへの忠誠心が熱い。さらに、根っからのオタクなので、重箱の隅をつついて舐め回すような鋭い意見を言う。そして、ご意見をいただく工場長と私の計4人で打ち合せをした。
私は、女性目線の意見を発しつつ、写真を選定したり、レイアウトを固めるなど、なんとなく、そんな役割を担う。
一昔前であれば、明確に役割が決まっていた事も多いと思うけど、中小企業同士の仕事や、少人数のプロジェクトの場合は、プロデューサー・ディレクター・デザイナー・カメラマン・エディターなどと役割を明確にせず、諸々兼任することが多い。

やっと、制作物の台割り(ページ構成)の方向性が見えたので、みんなで近所のファミレスで昼食を摂りに工場を出る。オタクの島田さんは、私と同じ歳で、新婚ホヤホヤである。

「どうですか?新婚生活は?」

「いやー、相手とは10年前に2年くらい付き合って、そこからも結構仲は良かったんですけど、正式には半年前くらいからまた付き合うようになってすぐに籍を入れたので、あまり新婚っていう感じはないんですよね。家を買う事になったので、一緒に住む?と聞いたら彼女がOKしたので籍を入れたんですよ」

なんで家を買う事になったのか。半年前から「付き合う事になった」経緯は、お互いに話し合って元サヤに収まったのか。何かの勢いで肉体関係を結び、ホヤホヤが再発。それを「付き合う」と呼ぶのか。今は突っ込みすぎるところではないと思ったので黙った。

「部屋の間取りは?寝室は一緒なんでしょう?」と、プロデューサーが紳士的に尋ねる。その場にいた全員が「長年付き合って結婚した人の夜の夫婦生活」について聞きたかった事は明白だ。私が「夜の営みは順調ですか?」と聞く前に、紳士的な方法で質問したプロデューサーには頭が下がる。

「3LDKの間取りで、1室は僕の仕事部屋です。その他奥さんの部屋と寝室があって、シングルベッドを二つ並べている感じですね。お互い、寝るときは違う音楽を聴きながら寝たいので、少し離して寝ています」

「つまり、性生活は?」と、聞きたかったけど、プロデューサーのような紳士的語彙の変換機能が私には搭載されていない。そこにいる全員が、全員の語彙に頼るが、プロデューサーもそこから先は突っ込まない。

「だいたい、新婚ホヤホヤって言いますけど、結婚する時点である程度長く付き合ってから結婚する事が多いわけじゃないですか?なんで、新婚だと、ホヤホヤしているとみんな思うんでしょうね?プロデューサーはそのあたりを如何お考えですか?」

「俺は、告白と同時にプロポーズした山本耕史スタイルの先駆けだから、結構ホヤホヤだったよ」

山本耕史堀北真希に告白と同時にプロポーズした事は、一つの「スタイル」として確立されている。ひとつ屋根の下で暮らすために、愛という名の下に告白と同時にプロポーズし、日の当たる場所でさえも、春よ、来いと言わんばかりに、土方歳三のように男らしく奥さんと真田丸してホヤホヤし続ける事、それが「山本耕史スタイル」だ。

今、私の年齢で結婚するためには、「山本耕史スタイル」以外に方法がないと思っている。それを実践していた人がこんな間近にいたとは驚いた。

結婚して6年ほど経つ今でも、プロデューサーの奥さんは、プロデューサーの事を世界で一番かっこいいと思っている。以前、別件でプロデューサーを撮影した際、「彼のかっこよさが全然引き出せていない」と、ダメだしを受けたことがあるし、仕事の事でもなんでも、2人の間に隠し事はない。彼らは、周りの常温を感じられないほどに今でもホヤホヤの熱気に包まれている。

オタクの島田さんの新婚話からは話が逸れた上、工場長の出番はなかったけど、ホヤホヤと打ちすぎてもう具合が悪いので今日の記録はここまで。